上端さんの作品の特徴は、まず素地を還元焼成せずに、あえて酸化焼成する点にあります。これにより、作品が青みを帯びた白い、九谷焼によく見られる肌の色ではなく、アイボリーな色合いに仕上がり、柔らかな印象を与えるようになります。
絵の具にも特徴があり、「葡萄茶」(えびちゃ)と名付けられた、茶色味を帯びた絵具が使用されています。葡萄茶とは、大正時代に流行した「葡萄茶袴」に由来するネーミングで、赤でもなく茶色でもない、上端さんの特徴的な色合いです。
円形を基調としたモチーフも、上端さんの追い求めるテーマの一つ。これからの作品の発展を予感させる作品です。